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資料1
教材観
・成人看護実習における壮年期の肝硬変(非代償期)愚者の看護である。
・壮年期は体力の衰之、老化現象がはじまる慢性疾愚が発症しやすくなる時期で、この患者もそうである。
・社全的には最も生産的で優れた活動力を持つが、この患者はアルコールによる肝硬変で失業中で仕事による生きがいが持てない状態である。
・家庭的には、父親として次の世代を育て家庭を管理していく責任をもつ時期であるが妻と離婚し、子供もなく、兄弟とも絶縁状態で、本来の役割からかけ離れており、家族による支援は望めない。
・肝性脳症は落ち着いているが、黄疸、腹水など症状は安定していない状態である為、病態を理解し、その過程に応じた看護が必要とされる。
・肝硬変の場合、治癒することはない。疾病の経過は長期にわたり、予後への不安も大きい。患者は疾病について正しい知識を持ち、自分自身がその状態を調整しながら生活する方法と、強い意志が必要である。
家族の支援は望めないとしても、予後のことを考え、家族とコンタクトをとる必要がある。日常生活の援助を通して、意欲を失うことなく疾病と共存して生活に適応できるよう指導援助することが看護の重要な役割であり、学習の意義は大きい。
<学習する内容>
1. 対象の理解
2. 治療、処置、検査に関する技術・援助の習得
3. 看護上の問題の把握
4. 保健指導などの生活援助技術の習得
学生観
・3年の最終実習段階で専門科目もほぼ終了している。
・基礎看護技術の習得は、チェックリストの「一人でできる」の項にあり、とりあえずできると判断される。
・前に、成人慢性疾患の一般的経過をとった患者を受け持った経験はあるが、患者の個別性が生かされなかった。
・素直で協調性があり、患者との対応もスムーズになっているが、やや積極性に欠ける。しかし、今回の実習では様々な背景をかかげる愚者を受け持ち、戸惑いながらも個別性を生かせるよう積極的に関わりたいと意欲的である。
・看護婦になる意識にも目覚めており、実習の関心は高い。
指導観
・壮年期の肝硬変の患者に個別性をとらえて、看護過程の展開ができることをねらいとする。
1. 対象の理解ができるようにする
壮年期の特徴を肝硬変の患者を通し、身体的、心理的、社会的側面から理解する。この患者の社全的役割、家庭での位置づけ、その心理的影響を気付かせ、患者と関わりが持てるようにする。
2. 主要症状がなぜおこるのか病態生理と関連させながら理解できるようにする
発問、レポート等によって知識との統合をはかる具体的援助を、思者を通して習得させる。
3. 治療、処置、検査については、講義にフィードバックさせながらその意義、目的を明確にし、患者の立場に立って援助が考えられるようにする
4. 看護過程が展開できるようにする
この思考のニーズを適切にとらえられるように、アセスメントに力を入れて指導したい。援助計画について、根拠を明らかにし安全・安楽を基本にして実施できるよう指導したい。
5. 最終段階での実習なので、積極的に関わることができ、意欲を失わないよう適切な助言を与え、実施した看護行為の効果を認め、達成感を味わえる実習にさせたい

 

 

 

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